【書評】『なぜ僕らは働くのか』人生と社会の「働く意味」を見つめ直す一冊

「どうして働かなくちゃいけないの？」──子どもだけでなく、大人も時にぶつかるこの疑問に、明快にそしてやさしく答えてくれる一冊が、池上彰氏監修の『なぜ僕らは働くのか』です。本書は、中高生を主な対象としながらも、働くすべての人に読んでほしい人生の指針となるような内容が詰まっています。

書籍概要

本書は「働く意味」を子どもにも分かりやすく伝えるために、マンガ形式と解説文の二本立てで構成されています。テーマは以下のように多岐にわたり、「働くことの意味」「お金と仕事」「好きなことと仕事」「格差や社会問題」などについて、具体的な事例とともに描かれています。

物語の主人公である中学生たちは、学校での授業や地域の人々との出会いを通じて、「働くとは何か」を深く考えるようになります。その過程を読者も一緒に体験し、自分ごととして捉える構成が非常に秀逸です。

大人になると「働くこと」は当たり前になり、立ち止まってその意味を考える機会は少なくなります。しかし本書を読むことで、「働くとは自己実現の手段であり、社会貢献の方法でもある」という大切な視点を再認識できました。

特に印象的だったのは、「自分の仕事が誰かの生活を支えている」という描写。日々の業務の中でつい忘れてしまいがちな「人の役に立っている実感」を、改めて心に刻むことができました。

また、子どもに「将来の夢は？」と聞く前に、大人自身が「なぜ働くのか？」を自問し、その答えを持つことの大切さも感じました。本書は子どもだけでなく、大人が読むことで新たな気づきを得られる「自己啓発書」としても優れています。

特に進路に悩む中高生には強く推奨したい一冊。自分がどんな仕事をしたいのかだけでなく、「なぜ働くのか」という根本的な問いに向き合うことが、自分らしい未来をつくる第一歩になるでしょう。

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