【書評・要約】『ファクトフルネス』|世界は思っているよりずっと良くなっている
◆ はじめに:「世界はどんどん悪くなっている」と思っていませんか?
貧困、戦争、環境問題――ニュースやSNSを見ると、
「世界はひどくなっている」「未来は不安だ」と感じがちです。
でも、ハンス・ロスリング著『ファクトフルネス』を読むと、
“その認識自体が間違っている”かもしれないことに気づかされます。
この本は、データに基づいて世界を正しく見る力=ファクトフルネスを養う、知的で希望に満ちた一冊です。
◆ ファクトフルネスとは?
感情や思い込みではなく、事実(ファクト)で世界を見る姿勢。
人間には「世界をネガティブに見る癖」があります。
それが現実の理解をゆがめ、不安や誤解を生み出しているのです。
◆ 本書で紹介される“10の思い込み(本能)”の例
- 分断本能:「豊かな国」と「貧しい国」のように、世界を2つに分けてしまう
- ネガティブ本能:悪いニュースばかりが印象に残る
- 直線本能:物事が常に右肩上がり(または下がり)に続くと思い込む
- 恐怖本能:印象的な事件だけで危険だと決めつける
- 犯人捜し本能:1人や1つの原因に問題を押しつけてしまう
…など、人間の直感に潜むバイアスが、“事実を正しく見る力”を奪っていることが、データと共に明快に示されていきます。
◆ 感想:「世界はこんなにも進歩していたのか」と目からウロコ
読んでいて最も衝撃だったのは、貧困率・乳児死亡率・平均寿命など、世界の多くの指標が改善しているという事実。
私たちは思っている以上に、悲観的なニュースに振り回されていたのだと気づかされました。
本書は、単にポジティブ思考を押しつける本ではありません。
正しい情報を冷静に読み解き、健全な判断をするための“知性のトレーニング”です。
「世界を知る」とは「希望を持つこと」でもある。
そんな読後感を味わえた一冊でした。
◆ こんな人におすすめ
- 世界や社会のことを正しく知りたい人
- メディアに振り回されず、自分の頭で考えたい人
- ビジネス・教育・政策などに関わる立場の人
- 将来に対して漠然とした不安を抱えている人
◆ まとめ:希望は“正しい知識”から生まれる
『ファクトフルネス』は、
世界に対する見方を根本から変えてくれる、知的で実用的な「人生の視力矯正メガネ」のような本です。
事実を知れば、必要以上に不安にならずにすむ。
希望を持って、次の一歩を選べる。
そんな力を、データと共に与えてくれる一冊です。