「投資の本質は“待つ力”にあり――『お金は寝かせて増やしなさい』で学ぶインデックス投資の極意」

書評 感想

「お金は寝かせて増やしなさい」は、個人投資家として名高い水瀬ケンイチ氏が、自身の20年にわたる投資経験をもとに執筆したインデックス投資の実践的ガイドです。本書のキーワードは「長期」「分散」「ほったらかし」。特別な知識やタイミングの見極めは不要で、ただ着実に資産を積み立て、時間の力(複利)でお金を増やすというシンプルな投資法を紹介しています。

著者は投資初心者時代に、アクティブファンドや個別株での失敗を経て、インデックスファンドに出会います。市場全体に投資するこの手法は、結果的にほとんどのアクティブファンドを上回るパフォーマンスを実現しており、データ的にも優位性があることを示しています。

本書では、以下のような具体的なポイントが紹介されています。

  • インデックス投資の優位性:低コストで分散が効いており、長期的に見れば高確率で資産が増える。
  • 積立の仕組み化:毎月自動で積み立てることで、タイミングの悩みから解放される。
  • 感情のコントロール:相場が下がったときに売らない、焦らない。「寝かせる」勇気が鍵。
  • 実体験に基づいた安心感:著者自身のリーマンショック時の投資行動とその後の回復エピソードは、読み手に大きな安心感を与えてくれる。

感想としては、本書は「投資で成功するには知識よりも行動と習慣が大切」という大原則を繰り返し説いており、投資に興味があるけれど不安がある人にとって、非常に心強い一冊です。

特に印象的だったのは、「インデックス投資は退屈である」という言葉。毎月同じように積み立て、見直しもほとんどしない。でも、その「退屈さ」こそが最大の武器であるという視点は、多くの投資本にはないメッセージです。

短期的な利益を狙いがちな現代において、本書は“時間を味方につける”という投資の王道を再確認させてくれる一冊でした。資産形成を真剣に考える全ての人におすすめです。


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