「正しさより柔軟さを選べ──『Think Again』が教える思考のアップデート術」

書評 感想

「自分は正しい」と思い込んだ瞬間、私たちの思考は止まる。アダム・グラントの『Think Again(邦題:Think Again ―発想を変える、思い込みを手放す)』は、そんな“思考の停止”に警鐘を鳴らす一冊です。

■ 本書の主張:「考え直す力」が最強の武器になる

多くの人が知識やスキルを磨こうと努力します。しかし、現代の複雑な社会では「考え続ける力」こそが、最も重要なスキルだと著者は主張します。
この「考え直す力(リシンキング)」とは、自分の信念、意見、常識に対して柔軟に立ち返り、アップデートし続ける能力のことです。

たとえば、

  • 「自分が間違っているかもしれない」と疑う勇気
  • 「証拠によって考えを変える」知的謙虚さ
  • 「相手を説得するより、一緒に考える」対話力

これらが、イノベーションを起こす企業、成長を続ける人々、信頼されるリーダーたちに共通しているのです。

■ 3つの思考スタイルを見直せ

グラントは、私たちが意見を扱うとき、3つの思考スタイルに陥りがちだと指摘します。

  1. 牧師(Preacher):自分の信念を布教しようとする
  2. 検察官(Prosecutor):他人の誤りを指摘しようとする
  3. 政治家(Politician):人気を得るために意見を操作する

このようなモードではなく、「科学者モード(Scientist Mode)」で物事に臨むべきだと説きます。つまり、仮説を立て、検証し、結果から学び、柔軟に考えを変える姿勢です。

■ 実践ポイント:リシンキングの習慣を持つ

本書では実生活で使える実践例も多く紹介されます。

  • 自分の信念に反対する意見をあえて聞いてみる
  • 「なぜそう思うのか?」を5回繰り返す
  • 「私は間違っているかもしれない」と口に出す

このような習慣は、他人との対話を円滑にするだけでなく、自分の成長スピードも格段に高めます。

■ 読後の感想:自分の思考に“余白”を持とう

この本を読んで強く感じたのは、「知識は力ではなく、重荷にもなりうる」ということです。思い込みにとらわれず、変化し続ける勇気。これは現代を生き抜くための必須スキルです。

私自身も、意見を曲げないことが「芯の強さ」だと思っていた節があります。しかし、時にそれは「ただの頑固」だったのかもしれません。

今後は、自分の考えを守るよりも「アップデートする姿勢」を大切にしていきたい。そう思わせてくれる一冊でした。


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