【書評】『タピオカ屋はどこへいったのか?』を読んで考えた、流行の裏にある本当の話
タピオカ屋が街から消えた――
その背景に、社会の“リアル”があった。
2018〜2020年ごろ、若者を中心に一大ブームを巻き起こしたタピオカ。
一杯700円前後という高価格にも関わらず、行列ができ、SNSを席巻し、全国津々浦々にタピオカ屋が誕生。
しかし、今やその姿は激減。
「あれだけあったタピオカ屋は、どこへ行ってしまったのか?」
その問いに真っ向から切り込んだのが、菅原由一さんの著書、
『タピオカ屋はどこへいったのか?』です。
タピオカブームは“熱狂”だった
本書では、ブームの始まりから終わりまでを現場目線で徹底分析。
筆者自身が実際にフランチャイズ業界の裏側を見てきたからこその「リアル」が詰まっています。
【印象的なポイント】
- SNSマーケティングによって短期的に爆発する仕組み
- タピオカブームを仕掛けた企業と乗った人たちの関係性
- “再現性のないビジネス”が大量発生し、淘汰されていく過程
タピオカ屋の大量出店と撤退は、まさに「流行ビジネスの教科書」のようでもありました。
単なるグルメ話ではなく、現代の縮図だった
タピオカブームの盛衰を通して描かれるのは、現代消費社会の構造です。
特に、以下の視点が非常に面白かったです。
- 「流行」と「ビジネスチャンス」が一体化している現代
- 短期回収型ビジネスのリスクと矛盾
- 情報に踊らされやすい消費者心理
この本を読み終えたあと、単に「タピオカ屋が減ったね」という話ではなく、
「自分だったらどうする?」という視点に変わっていきました。
こんな人におすすめ!
- フランチャイズや小売業に興味がある方
- 流行やトレンドに振り回されがちだと感じる方
- 「なんとなく不思議」と思っていた現象の背景を知りたい方
- 独立・開業に憧れている人(=反面教師としても学びあり)
読後の気づき:タピオカ屋は“失敗”ではない
本書の中で最も響いたのは、
「ブームが終わることは失敗ではない。それは“役割を終えた”ということだ」という視点です。
タピオカブームがあったからこそ、
若者の文化が生まれ、街が賑わい、SNSでの自己表現も花開いた。
その一瞬の熱狂に、意味がなかったわけではない。
まとめ
『タピオカ屋はどこへいったのか?』は、
一見すると軽そうなテーマでありながら、現代社会の本質を突いた一冊です。
街から消えたお店の背後には、想像以上に深い理由がありました。
流行に乗るのも悪くない。でも、流行を“見抜く目”を持つことの大切さを教えてくれる、
まさに「一読の価値あり」な本でした。
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